車の塗装っていろいろあるけど、もっと詳しく教えて!





 自動車塗装の役割とその仕組み

 1.塗装の目的

 A.  素材の保護塗装(色を塗ること)の目的は、着色して見映えを良くするだけではなく、金属を錆から防ぐ

 B.  外観の向上色をつけて見映えを良くし、商品価値を大きく向上させる。車に対しての塗装レベルは耐久性と外観性のバランスで、金属の塗装のなかでも、最高水準にあるとされる。

 C.  外観塗装の3つ目の目的は識別効果(識別塗装)で、色を塗ることによって、ある物を、別の物と区別することにある。


 2.自動車の塗装膜

 塗装の役割は幅広い為、高い能力の塗膜を得る為には、1種類の塗料では力不足になる。そこで、それぞれに能力の異なる塗料を塗り重ねて、必要な性能を確保するのが一般的。特に自動車塗装のように、外観の高水準な仕上がりと厳しい環境条件に耐えなければならないという、お互い相反する性質を両立させるには、それぞれの能力を持ち合わせた塗料の組み合わせが必要となる。

 塗装の順 (図A参照)
1.  最初に金属面上に錆を防ぐ塗料を塗る
2.  ヘこみを埋める塗料を塗って表面を平坦にならす
3.  色彩を持つ塗料を重ね塗る

 などという一連の流れが基本となっている。


 塗膜の断面構造

 図B−1は、新車時(ダメージを受けていない)塗装の断面図。これが、基本的な塗装構造といえる。金属面の表面処理により、次作業行程である「塗り」を定着する環境を整え、順次各能力に特化した性能を与えていく。

 図B−2は、修復塗装の断面。金属面の凸凹は傷や窪み等に相当する。B−1と比較すると、上塗りと金属面との間が大きく異なることが理解できる。上塗り及び表面処理以外の違いは、
 プライマーサフェーサー
防錆、充填、上塗り補強を担う
 仕上げパテ
微妙なへこみ等を埋める
 ポリパテ&板金パテ
それぞれ浅い又は深いヘコミ等を埋めてしまう
 ウォッシュプライマー
防錆
といった、別作業により補修されている。


 4.上塗り塗膜の分類

 一般的にはソリッドカラー(図B−3)メタリックカラー(図B−4)で、単純に色を塗ってあるソリッドカラーに対し、メタリックでは、上塗り塗料に無数のアルミの小片を混ぜ、一番上にクリヤーという色の付かない上塗りを重ねている。その他にも見る角度によって微妙に色合いが変化するパール塗装(図B−5)、また、ソリッドカラーやメタリックカラーの光沢をさらに向上させる為に、一層上塗りを重ね(クリアヤーや同系色)てある4コート4ベーク(図B−6)塗装などが、高級車種を中心に採用が目立つ状況といえます。

 それでは、ここで先の代表的塗膜構造を簡単に見ていきます。

 ソリッドカラー(図C−1)
 光の大部分を透過させ、単色で色が塗られている。

 また、その上にクリヤーがぬり重ねてある場合もある。

 メタリックカラー(図C−2)
 表面で光を反射、吸収する。
 塗料に無数のアルミの小片を混ぜ、上にクリヤーという色の付かない上塗りを重ねている。

 パール塗装(図C−3)
 重なりあった半透明の各層で光が複雑に反射、吸収、屈折する。
 真珠(パール)の様な独特の輝きを持つパールの光沢の秘密は、
 顔料として用いられている雲母にある。雲母はごく薄い半透明の膜が何重にも重なった構造をもつため、中心の核の回りに長い時間をかけて分泌物を塗り重ねて生まれる真珠とその色彩が似ている。
 雲母に当たった光は、ガラスやクリヤー塗料の様に素通りをするのではなく、又、普通の着色顔料のように単純に反射と吸収を行うわけでもなく半透明の膜ごとに、透過、反射、屈折、吸収を繰り返す。
 雲母の外層にコーティングされた酸化チタンは、雲母の耐候性を高めると共に、さらに光沢の幅を広げる役目も受け持つ。
 そして周囲にある他の顔料やベースコートの反射光も加わって、パール塗装の味わい深い輝きが演出されるわけだ。

   
 
        


    
               図B−1


   
               図B−2



      図B−3          図B−4


  
                図B−5


  
                図B―6



                図C−1



                図C−2



                図C−3
塗装ってね